WordPressバージョンアップの流れとポイント
WordPressサイトの運用で、こんなお悩みありませんか?
「管理画面で『今すぐ更新してください』ってボタンが出てきたけど、これ押しちゃっていいの!?」
「新しいプラグインを試そうと思ったら動かない!!」
「WordPressをアップデートしたら、webサイトが真っ白になっちゃったよ!なんで!?」
といった、WordPressのバージョンアップにまつわるトラブルや不安、
皆さんも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
この記事では、WordPressバージョンアップを行う際の流れや
注意すべきポイントをご紹介いたしますので、ぜひ参考にしてください。
1.そもそも、なぜバージョンアップが必要なのか
WordPressのバージョンアップを実施する理由には、主に以下の3つがあります。
セキュリティの向上
WordPressは世界中で広く利用されているCMSです。
そのシェア率の高さから、ネット上には多くの情報が公開されており、
利用者にとっては使いやすく、開発者にとっても構築のハードルが下がる、というメリットがあります。
一方、「ネット上に情報が多く構造や仕組みが理解しやすい」というのはハッカーにとっても同様で、WordPressサイトはサイバー攻撃の標的になりやすい傾向があり、
古いバージョンのままでは、既知の脆弱性を狙って攻撃を受けるリスクが高まります。
WordPressを最新バージョンにアップデートすることで、これらの脆弱性が修正され、
サイバー攻撃のリスクを減少させて安全にwebサイトを運用することが可能になります。
バグ修正
新しいWordPressバージョンには、
以前のバージョンで報告されたバグの修正が含まれています。
これにより不具合や諸問題が解決され、webサイトの安定性が向上します。
新機能の追加
WordPressのバージョンアップでは、新しい機能が追加されることがあります。
記憶に新しい機能ですと、
以前にご紹介した「ブロックエディタ機能」などがあり
こういった機能で管理画面やエディタの使い勝手が向上することで、webサイトの管理や運用がしやすくなります。
今までにも、「新機能を使いたい」といった理由で弊社にバージョンアップをご相談いただく機会が多数ありました。
2.バージョンアップの種類
WordPressのバージョンアップには、
「マイナーアップデート」と「メジャーアップデート」の2種類があります。
マイナーアップデート
セキュリティ強化やバグ・不具合の修正などで
「5.7から5.7.1」や「5.7.1から5.7.2」のように、バージョンの3桁目が変化するバージョンアップになります。
セキュリティ強化や不具合の修正のみが適用されるバージョンアップのため、
通常、webサイトへの影響も軽微となります。
メジャーアップデート
WordPressに大きな変更が含まれるアップデートで、
5.8から5.9の更新や、5.9から6.0への更新など、
バージョンの1桁目、2桁目が変化するバージョンアップになります。
このメジャーアップデートには、前述したマイナーアップデートに含まれるセキュリティ強化やバグ・不具合の修正に加えて「新機能の追加」、「仕様変更」などが含まれます。
言わずもがな、メジャーアップデートのほうがwebサイトへの影響が大きく
確認や作業ボリュームも大きくなる傾向にあります。
3.バージョンアップの流れとポイント
今回は、とくにwebサイトへの影響が大きい「メジャーアップデート」について
バージョンアップの流れをご説明いたします。
1. サーバー環境にあわせて、アップデート可能なWordPress本体のバージョンを確認
まずは、利用しているサーバー環境の各種バージョンに基づき「WordPressがどのバージョンまでアップデート可能か」を確認します。
WordPressのバージョンに直接影響する項目としては「PHP」と「データベース(MySQLなど)」のバージョンになりますので
サーバーのコントロールパネルなどから各情報を確認したうえで、ターゲットとなるWordPress本体のバージョンを決定します。
また、「アップデートしたいWordPress本体のバージョン」が確定していて、
利用しているサーバーのPHPやデータベースのバージョンが条件を満たしていない場合には
先にサーバー側でPHPやデータベースをバージョンアップする必要があります。
2. WordPress本体のバージョンにあわせてアップデートが必要なプラグインを確認
WordPress本体のターゲットバージョンが確定できたら、
そのバージョンを基準に「バージョンアップが必要なプラグイン」を洗い出します。
メジャーアップデートを行う場合、インストールされているプラグインはほとんどがアップデート対象になりますので
各プラグインの公式サイトなどから、WordPress本体のターゲットバージョンに適したバージョンを確認します。
また、なかには開発が終了してしまっていて、アップデートができない(バージョンアップしたらWordPress本体と互換性がなく、バージョンアップ後に不具合が発生する可能性がある)プラグインが出てくる場合もあります。
そのような場合は、同じような機能を持つ代替プラグインで差し替えを実施する必要があります。
3. 表示確認画面と動作検証を実施する機能を洗い出しリストにまとめる
各種バージョン情報が確認できたら、表示確認を行う画面や動作検証を実施する必要がある機能を事前に洗い出し、それぞれ、「表示確認用のページリスト」と「動作検証を実施する機能リスト」を作成します。
表示確認用のページリスト
表示崩れなどを確認していくページリストです。
トップページをはじめとする会社概要やサービス紹介など
更新頻度が少なく、WordPressで「固定ページ」として登録されているページなどを中心にまとめます。
「お知らせ」や「ブログ」など、WordPressの管理画面から投稿されるページは、
全ページをリストに追加してしまうと確認作業が膨大な量になってしまいますので
利用頻度の高いブロックやフィールドを網羅した「確認専用のページ」を作成してリストに追加します。
動作検証を実施する機能リスト
webサイトに実装されている機能を洗い出し、それぞれ仕様などをまとめたリストを作成します。
ここでまとめた内容が後々、動作検証を実施していく際にベースの情報となりますので
機能や仕様のピックアップに漏れがないように、詳細にまとめます。
4. テスト環境でバージョンアップを実施
「表示確認用のページリスト」と「動作検証を実施する機能リスト」が用意できたら
本番環境を複製したテスト環境を構築し、そこでWordPress本体と各種プラグインのバージョンアップを行います。
管理画面の操作からバージョンアップを実施する場合は、WordPress標準の機能で
ユーザー側の画面にメンテナンス画面が表示されます。
表示内容のカスタマイズが必要な場合には別途、メンテナンス画面管理用のプラグインをインストールして、メンテナンス画面に表示する内容を編集します。
FTPなどのツールで各種ファイルを直接サーバーにアップする場合にはWordPress標準機能のメンテナンス画面は表示されませんので、
別途、メンテナンス画面を表示するためのファイル(.htaccessや.maintenance)を用意します。
5. 発生した表示崩れや動作不具合を修正していく
テスト環境でWordPress本体と各種プラグインのバージョンアップが完了したら、
「3. 表示確認画面と動作検証を実施する機能を洗い出しリストにまとめる」で作成した「表示確認用のページリスト」と「動作検証を実施する機能リスト」をもとに、
表示崩れや動作不具合が発生している機能がないか確認を進めます。
この時にポイントになるのが、ユーザー画面側の確認だけではなく、
管理画面から「実際にいつもの操作で記事を投稿してみる」といった動作確認が重要になります。
弊社の事例でも、
「表示画面は問題ないが、いつもの操作で記事作成しようとしたらエラーが出て投稿できない」といった不具合が発生したケースが多くあります。
こういった不具合の発見が本番公開後に発生してしまうと
webサイトの更新が停止してしまい、致命的な機会損失を招く可能性に繋がりますので
より重点的に確認が必要です。
また、
プラグイン起因の不具合は、前述した「既存プラグインから代替プラグインに切り替える作業」が必要になる場合がありますので、その場合は互換性やサポート状況の条件をクリアする同様の機能を持った代替プラグインを検討します。
6. webサイト全体のバックアップを取得する
テスト環境の表示・動作確認と不具合や表示崩れの修正が完了したら、
本番環境に公開するまであと一歩です。
本番公開時に万が一トラブルが発生した際、すぐにwebサイトをバージョンアップ直前の状態に復旧できるよう、
本番環境のデータ一式(各種ファイル一式とデータベース)のバックアップを行います。
7. 本番公開
バックアップが完了したら、本番環境でWordPressのバージョンアップを実施します。
メジャーアップデートが開始されると、WordPress本体やプラグインなど複数のファイルが更新されますので、数分間webサイトが表示されない状態となります。
「4. テスト環境でバージョンアップを実施」で作成したメンテナンス画面が表示されているか確認します。
バージョンアップ(各ファイルの更新)が完了したら、
「5. 発生した表示崩れや動作不具合を修正していく」の手順と同様に、
表示、動作の確認を行います。
特に、テスト環境で修正した機能や差し替えたプラグインなどは
テスト環境と同じように動作しているか、テスト環境と異なる挙動になっていないか、といった点を念入りに確認しましょう。
4.さいごに
いかがでしたでしょうか。
WordPressのバージョンアップは、webサイトを安全に保ち、最新の機能を活用するために欠かせない作業ですが、手順が難しいと感じたり、不安に思うこともあるかもしれません。
また、今回ご紹介した流れはバージョンアップ時の標準的な手順となりますが、
webサイトの規模や、実装されている機能、プラグインによっては、さらに複雑な対応が必要になる場合もあります。
弊社ではWordPressサイトのバージョンアップにおいても豊富な実績がございますので、
お悩みやご相談がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。