ユーザーインタビューとは?web施策に戦略的方向性を
こんにちは。UXリサーチャー(HCD-Net認定人間中心設計スペシャリスト)の野村です。
マーケティングでのweb活用において、戦略的なwebプランニングは必要不可欠です。しかしweb施策に課題感はあっても、何から手を付ければ良いのかわからない、方向性が見出せないという悩みに直面することも多いのではないでしょうか。
そんなときに有効な手法の一つが「ユーザーインタビュー(デプスインタビュー)」です。本記事では、ターゲット理解の解像度を上げることでweb施策の方向性を導き出せるユーザーインタビューについて、その目的と重要性、web施策における実施の流れ、注意点、活用用途などを具体的にご紹介します。
目次
(より具体的な事例などの情報は今後の記事にて連載予定です。)
※ユーザーインタビューの対象は一般的に製品・サービスやそれらのマーケティング施策など多岐にわたりますが、本記事ではweb施策・webサイトの話を中心にお伝えします。
1. web施策におけるユーザーインタビューの目的と重要性
ユーザーインタビュー(デプスインタビュー)とは?
ユーザーインタビューとは、ユーザーの利用背景・文脈まで把握することで、ユーザー理解の解像度を上げ、webサイトをあるべき姿へ導くための調査です。
ユーザーインタビューでは、web施策の根本的なあり方を検討するための判断材料を得ることができます。
フォーカスする部分は目的によりますが、対象者の生活・仕事・人生における「How」や「Why」を1on1に近いインタビュー形式で深堀りします。サイト利用者の利用背景・文脈を把握することで、webサイトをあるべき姿へ導くことを目指します。
web施策の方針が定まらない場合に把握しておきたい「そもそも利用者ってどんな人?」「何のために、どの段階でそのサイトを利用するの?」といったユーザーに関する行動とその状況・背景を知ることができます。
ユーザーインタビューが必要とされる背景
潜在ニーズや深い洞察がマーケティング戦略において重要
顧客理解なしに効果的なマーケティング戦略は立てられません。
マーケティングで一般的なグループインタビューでは、対象者が意識していない潜在ニーズを拾いづらい等のデメリットがありますが、UXリサーチのユーザーインタビューは基本1on1スタイルで対象者の思考をどんどん深堀りしていけるため、質問に答えていく過程、あるいはその後の分析を通して本人も気づいていない潜在ニーズを捉えることが期待できます。
グループインタビューでは他の参加者に見栄を張ったり、同調したりするなど他の参加者の存在によって得られるデータが偏る可能性があります。一方、ユーザーインタビューでは対象者は他者を気にすることなく落ち着いた環境で質問に応えることができ、インタビュアーは事前に持っていた仮説を丁寧に検証することも可能です。
ユーザビリティ改善やコンテンツ制作ができる
web制作会社へ寄せられる主な相談内容の一つ、webサイトのユーザビリティ改善はコンバージョン率向上に密接に関連するものです。
ユーザビリティの検証や改善で代表的な調査はユーザビリティテストですが、顧客やユーザーの利用状況・背景を深く捉えながら、ユーザーインターフェース(UI)に関するニーズも取得したい場合は、ユーザーインタビューの中で対象箇所を操作してもらう時間をとるハイブリッドな手法も有効です。
また、ユーザーインタビューで得られた結果から顧客やユーザーのインサイトに刺さるコンテンツを制作することも可能です。
情報設計にターゲット理解が必要不可欠である
優れた情報の設計を行うためには、ビジネス要件、ユーザー要件、コンテンツ要件と、3つの観点から見て適切な設計を目指す必要があります。
企業都合と顧客都合は乖離する場合も多々ありますが、顧客の現実を解像度高く理解できることにより、プロジェクトの目的に応じて柔軟な落としどころを導出していきます。
企業中心の視点から顧客やユーザー視点に一度切り替えてみることで、新しいアイデアが生まれることも多々あります。
2. ユーザーインタビューのメリット
豊かな利用状況・利用背景を引き出せる
話題の深堀りが難しいアンケートやグループインタビューと違い、基本1on1スタイルで対象者の思考をどんどん深堀りしていけるため、豊かな情報を得ることができます。
事前にデスクリサーチ等で立てていた仮説が、対象者の仕事・生活・人生のリアルさでもって立証されたり、はたまた否定されたり、新たな切り口の発見があったりもします。
対象者本人の声や表情、間といったテキスト情報以上の豊かな情報から、その回答内容のきめ細かなニュアンスも汲み取ることができます。
目的に合わせて、設計もその場の質問も柔軟度高くチューニングできる
ユーザーインタビューの調査対象は幅広く、ユーザーの生活・仕事・人生といった広いテーマから、サービス・製品やwebサイトの利用にいたるまで、調査要件に応じて柔軟に設計できます。
ユーザーインタビューは一般的に事前に設問案を用意しますが、対象者の返答や様子に応じて、臨機応変に不明点を深堀りしていきます。
例えばアンケートの場合、設問と回答は一方通行であり、回答内容に不明点が含まれていても、そこを明らかにすることはできません。インタビューであれば回答内容によって臨機応変に追加質問をして、より深掘りできるのがインタビューの一番の利点です。
手軽に実施できる
インタビュー同様、インサイトの探索目的で実施されるUXリサーチで行動観察もありますが、実施場所の管轄者への許諾や実施条件の制約、予算・実施期間などプロジェクトが大掛かりになりがちです。一方ユーザーインタビューはTeamsやZoomなどでのオンライン実施も可能で、対象者の手配ができれば、手軽に実施することができます。
3. ユーザビリティテストとの違い
ユーザーインタビューと混同されがちな同じUXリサーチの代表的な手法、ユーザビリティテストとの違いを端的に例で表すと、下記のようなイメージです。
ユーザーインタビューとユーザビリティテストの違いを「恋人とのデートプラン」で例えると…
ユーザーインタビュー | ユーザビリティテスト | |
---|---|---|
問い | どんなデートプランなら喜んでもらえる? | この内容なら喜んでくれるかな? |
やること | 相手の好きなものや生活スタイルを教えてもらう | 実際にデートしてみて、相手がどんな反応をするかをみる |
活かし方 | デートプランの方向性を考える(構想) | 今後のデートプランに活かす(ブラッシュアップ) |
インタビューは検討の初期段階で施策全体の方向性を考えるために、ユーザビリティテストはある程度解決策の目星がついた後の段階で、もしくは現物がある状態で実施します。
調査意図のイメージをお伝えしたところで、ここからはより具体的に、両者を実施目的や実施タイミングなどで比較してみます。
ユーザーインタビュー
実施目的
利用者から、対象物の利用情報を直接聞くことで本質的なニーズを明らかにする
実施タイミング
- プロジェクトの初期段階
- webサイト等の方向性検討の判断材料を得る 要件定義や設計のベースとなる
実施方法
準備した質問をベースとしながら、対象者の反応をみて必要な箇所を深堀りする。アンケートでは得られない深い情報を収集
成果物の例
- 代表的なユーザー像「ペルソナ」
- 「ペルソナ」の体験を時系列にプロットした「カスタマージャーニーマップ」
- 本質的な価値を導出する「価値マップ」
※それぞれの成果物については後述します
ユーザビリティテスト
実施目的
利用者がなるべく簡単で迷わず、ストレスを感じずに操作できているか調査する
実施タイミング
実施のタイミングは下記のいずれでも可能です。
- サイト改修などのプロジェクトの初期段階
- 設計段階(設計内容の検証および改善)
- 実装後(効果を検証・報告)
実施方法
対象者に特定のタスクを依頼。対象者に思ったことを口に出しながら操作してもらい、その様子を観察し、行動や反応を記録
成果物の例
- ユーザー体験全体の中でのユーザビリティ課題と洞察
- 改善提案
大まかに一言でまとめると、ユーザーインタビューは人にフォーカスした調査、ユーザビリティテストは操作にフォーカスした調査ということがイメージいただけたかと思います。
3. ユーザーインタビューから導出できる代表的なアウトプット例
ここからは、ユーザーインタビューをすると具体的に何が得られるのか、導出できる代表的なアウトプットをご紹介していきます。
ペルソナ
ペルソナは「UXといえば」で連想される方も多い代表的なアウトプット。
ユーザーインタビューの分析結果から代表的なユーザー像を導き出した資料で、ユーザーの代表的な価値観・行動・背景などを一個人のプロフィール風につくります。
ペルソナのイメージ
リアルな人物像としてまとめることで「この人は果たしてこのサイトに来てくれるだろうか?」などと想像してイメージできなければ内容を修正するなど、商品・サービス・webなどの媒体のあり方を考える上で鍵となる情報であり、関係者間でユーザー像を共有することで方針のブレを減らすメリットがあります。
ペルソナについて、詳しくはこちらに掲載しています。
カスタマージャーニーマップ
ペルソナと同じくらい「UXと言えば」でおなじみのカスタマージャーニーマップは、複数のタッチポイントをまたいだ一連のユーザー体験の全体像をまとめたもの。
ユーザーの行動や感情を含め視覚化することで、時間軸の観点でユーザー体験を関係者間で共有できるようにします。
1枚のマップによりユーザー体験の全体像を俯瞰することで、改善すべきポイントが検討しやすくなります。
カスタマージャーニーマップのイメージ
カスタマージャーニーマップに含める項目
一般的には下記の項目を入れることが多いです。
- ステップ、ステージ、シーン
- ユーザーの行動、タッチポイント
- ユーザーの思考、ニーズ
- 感情曲線
- 環境
- 改善案
webサイト利用前の顧客の認知度・期待値向上、購入促進、webサイト利用中・利用後の信頼醸成など各段階における施策のアイディアをオンライン・オフライン含め一連の流れの中で考えることができます。
例えばBtoBのコーポレートサイトの場合、日頃の情報収集のためにセミナーに参加する、サービスの比較検討、検討最終段階での与信確認など、ユーザーの段階によってサイトへの来訪期待値、求める情報は異なります。
一部の段階だけを切り取って施策を行っても、部分最適に過ぎないため、施策全体としては不足があるということになります。
認知段階から問い合わせ、リピートまでカスタマージャーニーの全体像を俯瞰することで、対応すべきポイントを洗い出し、施策の抜け漏れを防ぐことができます。
価値マップ
ユーザーがどのような価値を求めているのか、本質的なニーズを導出でき、webサイトの要求定義に使える情報を得ることができます。KA法というボトムアップ的な分析手法から導出できます。
価値マップを導出するKA法では、一つ一つの事柄を上図のような「出来事」欄に記入し、その出来事に存在する(と分析者が想定する)「心の声」と「価値」を導き出します。これを価値カードと呼びます。
例えば、子育て中のママ向けの旅情報のwebコンテンツを作成するとして、子育て中のママ数名にインタビューを実施し、旅行に関する状況・背景のデータを集めます。
出来事欄「毎日ドタバタしていて旅行の情報収集する時間がとれず、ネットを見ても欲しい情報が見つからないまま準備不足で旅行当日を迎えた」
心の声欄「時間がほとんどなくてもサクッと欲しい情報を収集できる方法ないかな」
価値欄「時短で簡単に必要な情報収集ができる価値」
このように価値カードを一つ一つの出来事ごとに書き、それらを全てのインタビュー結果に実施します。
その後、これらの価値カードのグルーピングを進めていき、ボトムアップ的に段階的に上へ行くにつれて大きな概念になるよう抽象化を進めます。
この「段階的に」という点がポイントで、最上位概念だけではなく、小・中カテゴリの概念も含めて抽出することにより、施策の方向性、webサイトの要求定義・要件定義に使える「ちょうどいい」抽象度の価値を導き出すことができます。
ペルソナ・カスタマージャーニーマップ・価値マップの作成順
ユーザーインタビューから導出できるアウトプットを3つご紹介してきましたが、上記3つを全て作る場合は、下図のように価値マップ、ペルソナ、カスタマージャーニーマップの順に作成していきます。
価値マップで本質的な価値そのものの抽出から始めて、ペルソナでマーケティングの標的とする人物像をつくり、カスタマージャーニーマップで時系列の体験、その人のサイト利用ストーリーを把握します。
4. web施策におけるユーザーインタビューの実施タイミング
webサイト制作・アプリ開発などのプロジェクトにおいて、ユーザーインタビューは要件定義前に実施します。ユーザー要求定義のインプットとし、サイトコンセプト立案や掲載コンテンツの方向性などの参考にします。
インタビューで得られた客観的な論拠により、早い段階でプロジェクトメンバー間で求められる要件について認識を揃えられるため、同じ方向を向いてプロジェクトを進めやすくなり、また社内の上層部への上申や各部署への情報共有もしやすくなり、プロジェクト担当者にとっては心強い要素と言えます。
UXデザインでは下記の5段階モデルが提唱されており、新規プロジェクトを始める際は最下層から組み立て、既存プロジェクトの場合は最下層から確認して骨子にブレがない施策を目指します。
文・画像引用:Jesse James Garrett 著(2022)「The Elements of User Experience: 5段階モデルで考えるUXデザイン」 株式会社マイナビ出版、p53
ユーザーインタビューによる客観的な論拠から最下層の戦略を立案することにより、その次のステップでも芯のしっかりした状態で設計を進めることができます。
※この5段階モデルについては「第1回|図解|UXデザインとは?マーケティングやweb施策における必要性」で詳しく解説しています。
5. ユーザーインタビュー実施の流れ
本章(5)と次章(6.ユーザーインタビューで注意すべき点)はご自身で実施される場合や発注想定で事前に詳しく知っておきたい方向けの内容です。詳細については専門家への一任をご想定の方は次々章(7.ユーザーインタビューの活用用途)へとお進みください。
ユーザーインタビューを始める前に、まずは状況把握から行い、調査目的を定めます。
その目的に沿ってリクルート方針策定やインタビュー設計を行い、実施計画を立てます。
実施後は記録整理、分析を行い、目的に即したアウトプットを作成し、結果報告・施策提案を行います。
1. 状況把握と調査目的の設定
まず最初に実施予定のweb施策を進めるにあたって、現状の課題、何がわかっていて何がわかっていないのか、web施策の目的は何か、目的に即してどのような事柄を明らかにすべきか、現状持っている仮説などをプロジェクトメンバーや関係者へのヒアリングや既存データ、デスクリサーチなどによって把握していきます。
状況が明らかになったところで、web施策の目的に即して調査の目的を設定します。
既存データの例
- 対象サービスやサイト利用に関わる利用者のアンケート
- 対象サイトのアクセス解析のデータ
- 定性データ(関連するUXリサーチの結果・ペルソナ・カスタマージャーニーマップ等)
- そのサービスやサイトの全貌がわかるもの(案内資料・サイトマップ等)
※可能な範囲で構いません
2. リクルート方針の策定、対象者の選定
調査目的を設定したら、デスクリサーチや過去調査データなどから仮説のペルソナを作成します。プロジェクトメンバーや関係者に仮説のペルソナについて確認してもらい、問題がなければ仮説ペルソナを基準にインタビュー対象者を手配するためのリクルート方針を策定します。
実際にインタビューを行う対象者の選定は、このリクルート方針に沿って選定します。
(リクルート方針策定や対象者手配については、後日記事を公開する予定です)
3. インタビュー設計(インタビューガイドの作成)
質問リスト作成
調査目的に応じてどの部分を狙って聞くか前提を考え、インタビュー質問リストを作っていきます。各質問の横にはそれぞれの質問意図を書いておくと、関係者に共有する際に意図を説明しやすくなり、合意を得やすくなります。
質問の順番調整
質問リストができたら、全体の流れを考えながら並び順を調整していきます。
各質問項目の並べ方については、インタビュー対象者が答えやすいよう、冒頭に答えやすいものを、各項目同士は極力近い内容のものになるよう並べます。
インタビューガイド
インタビューは下図のような質問リストと回答欄などで構成されたインタビューガイドを見ながら進めます。インタビューガイドには各質問に連番を振り、分析の際に元データをたどれるようにしておくことで、データと分析の往復ができ、精度の高い分析をすることができます。
インタビューガイドの構成要素イメージ
半構造化インタビューとは
ユーザーインタビューにおいては「半構造化インタビュー」という形式が一般的です。
半構造化インタビューとは、質問リストを事前に用意はしておくものの、インタビュー対象者の話す文脈や反応によって臨機応変に掘り下げたり、質問順を入れ替えたり、聞き方を変えるなどして、より豊かな情報を得るためにその場の判断で調整します。
予備の質問リスト
ユーザーインタビューは対象者の集中力が持続する1時間程度が基本ですが、対象者によっては用意した全ての質問を終了予定時刻よりも早く聞き終えてしまう場合もあります。
インタビューのためにわざわざ作っていただいた時間を無駄にしないためにも、より豊かな情報を得るためにも、時間が余った場合の予備質問リストを用意しておくと良いでしょう。
優先度の設定
質問リストを用意する段階で、「あれもこれも聞きたい」と質問がたくさん出てくる場合も多いです。そういった場合、調査目的との照合で各質問に優先度を設定し、優先度の低い質問を予備の質問リストとして置いておくことをおすすめします。
対象者の中で属性が違う人がいる場合
対象者によって、その属性にしか聞けない質問を用意することもあります。
対象者数が多い場合には、数名実施している中で似た情報を得る場合も多いため、似た情報自体は共通項としての情報の価値はありつつも、新しい情報が得られそうな質問を深堀りしたり、数名実施した後に重要だと推察される質問を途中から追加するなど、調査目的より多様な情報が得られるようにすることもあります。
4. インタビューの実施
リラックスした雰囲気で対象者の本音を引き出します。対象者の話にしっかりと耳を傾け、共感し、深掘りしていきます。
実施のコツはたくさんあり、完璧に実践するにはスキルが必要となりますが、大きくは下記に集約されるかと思います。
- 対象者は師匠、聞き手は弟子というイメージで、相手に失礼のないように
- 誘導しない
- 要約された話を解きほぐす
対象者は師匠、聞き手は弟子というイメージで、相手に失礼のないように
実施時間中に対象者との信頼関係を築き「何でも言える」雰囲気を醸成するのが「ラポール形成」といい、ユーザーインタビューでは大変重要視されています。
これがないと質問しても真剣に回答してもらえず、表面的であったり雑な回答で終わることもあります。
インタビュアーはユーザーの利用背景・状況・ニーズをしっかり聞き出すため、まず何よりも対象者に敬意を持ち、快く質問に応じてもらえるよう配慮します。
誘導しない
「こうですよね?」とか「●●が一般的だと思いますが、いかがですか?」などと聞かれると、同調したい気持ちになり「本当はそうではなくて・・」と言いにくい。こういった気持ちになったことはないでしょうか?
これは人間が自然と持っている性質、同調バイアスによるものであり、そういった誘導をしないよう質問の仕方に気をつける必要があります。
要約された話を解きほぐす
要約された話は、聞き手には詳細部分は具体的にどのような内容を伝えてくれているのか、教えてもらわないと理解できないため、解きほぐすようにして深堀りしていく必要があります。
5. 記録整理・分析
インタビューを実施したら、インタビューの記録データを分析に使える形にしていきます。
インタビュー結果の分析は、模造紙やホワイトボード上に付箋を貼ったりペンで記入したりするアナログな方法と、オンラインのホワイドボードツールを使う方法があります。複数名で話しながら分析することで、分析者個人のバイアスの影響を低減し、客観性を高めることができます。
インタビューの分析は、KJ法やKA法といった分析法が一般的に使われています。そこで分析した内容から前述のアウトプットを作成したり、施策提案を作成し、関係者に共有します。
6. インタビュー結果報告と施策方向性のご提案
インタビューデータの分析後、結果をまとめ、施策の方向性を導き出します。ルート・シーにユーザーインタビューをご発注いただいた場合は、結果と施策方向性の資料をお客さまにご説明し、納品させていただきます。
6. ユーザーインタビューで注意すべき点
ユーザーインタビューの実施においては、下記の点に注意します。
- インタビュー対象者の個人情報が流出しないよう、記録シートや録画データの扱いなど、細心の注意を払う
- 個人情報の取り扱いに関してインタビュー対象者にお伝えし、安心して本番に参加してもらう
- インタビュー対象者の緊張感低減のため、見学の方がいる場合はマイクとカメラオフで同席いただく
7. ユーザーインタビューの活用用途
ユーザーインタビューは広範な対象を含めることができるため、web施策だけではなく大元のマーケティングや広報戦略全般においても参考にすることができます。
広報・マーケティング戦略の見直し
ターゲットの関心動機や行動パターンをもとに、ターゲティングやプロモーションの方法を見直します。より解像度の高い顧客理解から施策を打ち出すことで、効果的な戦略にブラッシュアップすることができます。
web施策の方向性を見いだす
インタビュー実施後に導出したアウトプットを関係者間で見直し、問題がなければ、web施策の要求定義・要件定義、情報設計へと進みます。
コンテンツの充実化
ユーザーが求めている情報やコンテンツを追加し、サイトの価値を高めます。例えば、最もユーザーが知りたい情報を目立つ位置に配置するとか、SEOを意識した書き方にする、ユーザーが共感する言い回しをキャッチコピーに採用するなど、ユーザーや顧客への理解の解像度が高いからこそできる工夫を施すことができます。
8. まとめ:効果的なマーケティング施策~web施策を行うために
ユーザーインタビュー(デプスインタビュー)はアンケート調査やグループインタビューよりも深い利用状況・背景を深堀りでき、ビジネス目的・施策範囲に合わせて調査内容も柔軟にチューニングできます。
対象者が手配できれば、オンラインで手軽に実施できるのが魅力です。
貴社のweb施策や広報・マーケティング施策に「論拠が足りていない」「なかなか成果が出ない」「顧客理解の解像度が低い」と感じる方は、ぜひユーザーインタビューを取り入れてみてください。
「ヒト」から答えを見つけ出す。ビジネスの課題解決にはその前提となるリサーチから。
web専業25年のルート・シーはマーケティング×UXで思考と行動の深層にしぶとく迫り、市場分析・企業分析・UXリサーチ・アクセス解析などを通してお客さまのビジネスの芯に迫り、課題を根本から解決するサイト構築や運用方法をご提案いたします。