Cookie規制はいつから始まる?規制による影響や求められる対策を解説

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Cookieは企業のマーケティング活動で活用されています。しかし、近年ではCookieの利用による個人情報漏洩のリスクが浮き彫りとなったことから、世界中でCookieの規制が徐々に始まっているのが現状です。そこでこの記事では、日本でのCookie規制はいつ頃になるのか、規制による影響や対策などをご紹介します。

Cookie規制とは

ここでは、Cookie規制の概要と生まれた背景についてご紹介します。

Cookieとは

ユーザーがパソコン・スマホからwebサイトへアクセスする際に、あらゆる情報をデータとして保存できる仕組みがCookieです。Cookieに記載されているIDから、webサイトを閲覧したユーザーの識別を行って再訪者か否かを判断できます。また、アクセス履歴や訪問回数などの情報を保存するようにCookieに設定すれば、その情報を活用してマーケティング施策を講じることも可能です。
ユーザー側は一度Cookieを有効にすればブラウザ側に自身の情報が記録されるため、次回以降IDやパスワードを入力せずともwebサイトへ自動でログインできます。

Cookieには、ファーストパーティーCookieとサードパーティーCookieの2種類があります。ファーストパーティーCookieとは、訪問しているwebサイトのドメインから直接発行され、サイト内におけるユーザーのトラッキングができるものです。ただし、他のサイトを横断してのトラッキングはできません。

一方、サードパーティーCookieは、訪問しているwebサイトとは違うドメインから発行されるもので、サイトの枠を超えてユーザーのトラッキングが可能です。現在では、企業の多くがサードパーティーCookieを活用してマーケティング活動を行っています。

Cookie規制の背景

近年、サードパーティーCookieでユーザー情報の第三者利用による転用・悪用の被害が多発したことをきっかけに、規制の流れが強まっています。特に問題視されているのが、自身の情報がいつどこで誰に利用されたのか分からない点です。
そこで、Cookieによって得られる情報を個人情報として捉え、世界各国でCookie規制の取り組みが急速に進んでいます。

Cookie規制の状況

ここでは、日本と海外のCookie規制の状況をそれぞれご紹介します。

日本のcookie規制

日本では、個人情報保護法が2020年6月に改正され、2022年に施行される予定です。今回の改正では、Cookieは個人関連情報と定義され、Cookieを使ったデータの取得・利用への同意取得の義務を2022年の6月から課すことが予定されています。

しかし、日本の規制への取り組みは他国と比べると後手に回っており、未だに多くに企業が規制への対応に追われているのが現状です。

海外のクッキー規制

アメリカでは、2020年1月にカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)が施行されています。CCPAは、カリフォルニア州に在住の消費者の権利を以下の3つより定めています。

  1. 消費者の個人情報を集める事業者に対して、収集した個人情報の類型及び特定部分を自身に開示するよう求める権利
  2. 事業者が消費者から収集したいかなる個人情報も削除するよう求める権利
  3. 消費者の個人情報を第三者へ販売する事業者に対して、自身の個人情報を販売しないように指示する権利

事業者側が個人情報を取得する旨をユーザーに通知することが義務付けられており、違反した場合は罰金が科せられます。

また、世界でいち早く規制への取り組みを行っているEUでは、2018年5月にEU一般データ保護規則(GDPR)を施行しています。GDPRでは、CookieやIPアドレスなども個人情報とみなし、EU圏内で個人情報を取り扱う事業者すべてにユーザーの同意を求めるよう義務付けています。同意を得ずに個人情報を取得した場合には高額な違約金が科せられることから、他国よりも規制に対する厳しさがうかがえるでしょう。

Cookie利用によるトラブルの実例

ここでは、実際に起こったCookieの利用によるトラブル事例をご紹介します。

リクナビ問題

就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、就職活動中の学生らに無断で内定辞退率のデータを販売したことが明らかになった事件です。学生達への同意を取らずに無断で提供していた点が大きな問題となり、結果的にサービスの廃止に追い込まれる形となりました。

この事件は、日本において個人情報保護の強化が国を挙げて取り組む姿勢につながったとされる象徴的な出来事です。

ケンブリッジ・アナリティカ社問題

イギリスの選挙コンサルティング会社「ケンブリッジ・アナリティカ社」が、2016年に行われたアメリカ大統領選挙やイギリスのEU離脱を巡る選挙の際に、Facebook上で数千万人分の個人データを不正取得して告発された事件です。Facebookによると、クイズアプリによって収集された最大8700万人分の個人データがケンブリッジ・アナリティカ社に渡ったとされています。告発を受けたことで事業の継続が困難となり、同社は破産申請手続きを申請することとなりました。

個人情報を同意なく利用したこの事件は世界で大々的に取り上げられ、個人情報保護の強化が各国で迫られる大きな要因となりました

主要ブラウザの対応

ここでは、Cookie規制に対するGoogle・Appleの対応をそれぞれご紹介します。

Googleの対応

Googleが提供している無料ブラウザ「Chrome」は、サードパーティーCookieのサポートを2022年までに打ち切る計画であることを2020年に発表していました。

今後については、個人情報保護を前提とした新たなシステムの構築を目指し、開発に取り組んでいるようです。新システムでは、広告主が個人情報を取得せずにターゲティングが可能となる予定です。

Appleの対応

2020年3月、Appleのブラウザ「Safari」では、ドメインを横断したトラッキングの防ぐ「ITP」を搭載してサードパーティーCookieを全面的にブロックし、プライバシー保護に努めています。ただし、ITPはファーストパーティーCookieも制限してしまうことから、web解析ツールに影響を及ぼす弊害も生んでいます。そのため、今後は新たに広告効果測定ツールを導入し、ITPの影響を受けない対策が必要になるでしょう。

Cookie規制による影響

ここでは、Cookie規制による影響をご紹介します。

Cookie規制とマーケティング

現状のマーケティング活動では、サードパーティーCookieを利用してブラウザごとにユーザーの購買履歴や閲覧行動を把握し、広告を配信する「リターゲティング広告」が主流です。そのため、Cookie規制によってリターゲティング広告で収益化を図っていた企業は、大きな影響を受ける可能性があります。今後、新たな広告戦略を打ち出す必要に迫られる企業も少なくないでしょう。

また、ビュースルーコンバージョン計測もできなくなります。ビュースルーコンバージョン計測とは、広告を閲覧したもののクリックまで至らなかったユーザーが別ルートでサイトにアクセスして実現したコンバージョンのことで、間接的な広告成果を把握するための調査方法です。規制によって調査ができなくなるため、広告の投資利益率(ROI)や費用対効果(ROAS)を策定する際に質の低下が懸念されます。

Cookie規制とエンジニア

近年はCookie利用に関する同意事項を表示するwebサイトが増えており、広告業界やECサイト関連業界などでもCookie規制の対応が進んでいます。そのため、今後脱Cookie化のためのシステム開発は避けられない課題になっていくでしょう。

今後、エンジニアはCookie規制の要件を満たし、かつより良いサービスを提供するための機能を開発していく力が求められます。

Cookie規制に備え、今のうちに対策を始めましょう!

今回の記事では、Cookie規制が始まるタイミングや規制による影響などについてご紹介しました。プライバシーの侵害や情報漏洩リスクが問題視されるCookie情報の取り扱いについては、規制を行う取り組みが各国で急速に進んでいます。しかし、日本の規制は世界と比べても後れを取っているため、徐々に強化されていくことが予想されます。

規制の内容によってはマーケティング活動が思うように進められない可能性も出てくるため、まだ対策をしていない企業は早めの対策を心掛けましょう。

ルート・シーでは、webサイトの改善や制作に関するご相談など幅広くサポートさせていただきます。 ぜひお気軽にご相談ください。

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